コミュニティづくりにおいて重要な8つの知恵-第2回プロジェクトリポート

OCICAの事例
こんにちは、コミュニティナース育成プロジェクト事務局の齋藤です。
第2回(すでに第3回が終わってしまったのですが…)のレポートをお送りします。

第2回のテーマは、コミュニティナースではないコミュニティづくりの専門家による事例の紹介を通じて自分たちが積極的に活用すべき知恵を得る、というものでした。

そこで今回のプロジェクトレポートでは、思い切って講師の友廣さんの一般財団法人つむぎやや、OCICAの活動については割愛して、この講座の中で出てきたコミュニティづくりにおける知恵を紹介します。
(友廣さんや今回の事例であるOCICAについては『OCICA 石巻 牡鹿半島 小さな漁村 の 物語』に丁寧にまとめられていますのでそちらをご覧ください!)

8つの知恵を、3つのグループに分類

話を聞きます2
このレポートでは、第2回の講座を通じて登場したコミュニティづくりにおける知恵を事務局の齋藤の独断と偏見で3グループ8つに分類しました。

1つ目のグループは「活動の心構えグループ」です。ここには2つ「人好密度」と「“弱さ”基準の仕組み」の知恵が入っています。

2つ目のグループは「現場のワザグループ」に関する知恵です。「TTT(徹底的に頼る)」「最小限の期待値」「孫コミュニケーション」の3つの知恵が該当します。

3つ目は「しくみグループ」についてのグループです。「朝会と夕会」「リセットの機会」「活動からの自立」とここも3つの知恵が登場します。

ここからはそれぞれのグループに分けて、どんな知恵が登場したのかを整理して紹介します。

【1】活動の心構えグループ

OCICAの事例
活動の心構えグループには、活動中は常に心の中に置いておくべき心構えについての知恵が入っています。このグループでは、コミュニティづくりに関わる多くの場面で意識しておくべきだと思った内容を紹介しています。

1-1 人好密度

第1回の講座から登場している「人好密度」。友廣さんのお話の中では「お母さんたちの笑顔の総量」という表現で登場していましたが、ここでは講師の矢田さんが多く使っている表現に寄せてまとめました。

プロジェクトを進めるために、チームで活動する以上は全員が共有できる指標が必要です。一番わかりやすいのは売上高などの金銭的な指標ですが、コミュニティづくりの現場においては必ずしも有効な指標ではありません。

そこで友廣さんのOCICAや、矢田さんが使っている指標が「人好密度」です。

人好密度は正確に数値で測ることはできませんが、増減を追いかけたり、ある施策が人好密度の増加に貢献するのかどうかを考えたりすることができます。

1-2 “弱さ”基準の仕組み

プロジェクトを動かす時に物事を仕組み化することは重要です。全体の効率を上げたり、クオリティの向上につながるからです。

どんな仕組みを作るかを考える時、友廣さんは人の弱さを基準に設計すると言っていました。

これは、
もしこれをしたら誰がどんな気持ちになるか
特に弱い人ならどんな気持ちになるか
といったことを想像することです。

この想像を通じて”弱さ”基準にもとづいた、心配りのある仕組みを作ることで、いざという時にも脱落者が出にくい強い(=人好密度が下がりにくい)仕組みを作ることができます。

【2】現場のワザグループ

話を聞きます
コミュニティづくりの現場では毎日、大小様々な問題が出てきます。現場のワザグループでは、そうした現場で出てくる課題や問題を解決するために役立つ知恵を紹介しています。

2-1 TTT+A(徹底的に頼る+諦めない)

コミュニティづくりの現場に関わっている人たちだけでは解決できない問題や課題が発生した時、例えばOCICAのデザインをする人が必要になった時に使える知恵がTTT+A(T徹底 T的に T頼る + A諦めない)です。

これはその名の通り「誰かできる人に頼る」ということです。

重要な点は2つ。1つは「何を目指しているのか」とセットで語り、頼ることです。そうすることで、目標に向かって一緒に走れる人を探しあて、頼ることが出来ます。そしてもう1つは、できる人が見つかるまで探し続ける、ということです。

「+A」があるのは、多くの人が見つかる前に諦めてしまうからです。
TTTだけでも積極的に使うべきですが、そこに「+A」をすることでより効果を高めることができます。

2-2 最小限の期待値

期待値が低いことのメリットは、成果を求めすぎず、プロセス自体を喜び、成果として活動することができることにあります。

友廣さんは牡鹿半島に来た当時、名刺すら持たない状態で「何者でもない」状態でした。そのため現地の人からの期待値はほぼゼロの状態でした。

ですが期待値がゼロの状態であったからこそ、物事を小さくスタートさせることができました。また、小さな成功であっても地元のお母さんたちと一緒に喜ぶことができました。

コミュニティナースも「看護師」「保健師」という先入観や期待値では到達できない関係性を町の人と構築し、最小限の期待値で活動を起こしていくことが出来ます。

2-3 むじゃきコミュニケーション

牡鹿半島にとって大きな課題の一つが、津波で半数の家々が流された結果、家が残った人と流された人の間で分断が起こってしまったことです。

この両者を近づけるコミュニケーションが「むじゃきコミュニケーション」です。これは子どもが、

どうして信号は3色なの?」
どうしてネコは毛むくじゃらなの?」
どうしてヤギは紙を食べるの?」

とむじゃきに質問するようなコミュニケーションのことです。むじゃきコミュニケーションを使うことで、

「◎◎さんが△さんを大好きって言われてましたよ。」

といったような当人たちが恥ずかしくてなかなか言えなくなっているようなことを素直な気持ちを媒介に伝えることができます。

【3】しくみグループ

矢田さんからの質問
3つ目は仕組みに関する知恵をまとめたグループです。コミュニティの健全性を保ったり、より活性化させたりするために使えるルールの関する知恵を紹介しています。

3-1 朝会と夕会

OCICAのデザインが決まったあと、必要になったのは品質を高めるための仕組みでした。この時に役立ったのがOCICAで作業を始める前に開いていた朝会と、作業終了時に開いていた夕会でした。

朝会では、前回の作業で出た改善案を話すことで、その日の作業の改善を目的としていました。
夕会は、その日の作業の中で見つけた改善点や課題を話して次回に活かせるようにしていました。

朝会と夕会を通じて、現場ではPDCA(時にはIDCAの場合も)サイクルがまわり、例えば新しい指サックが登場したり自動的に紐の長さを計れる装置が登場したりしました。

3-2 リセットの機会

OCICAの原点は「牡鹿半島の先輩お母さんたちの笑顔を取り戻したい」でした。しかしビジネスとしてOCICAが動き始めるとどうしても、その原点からズレてしまうことがあります。

そのズレをリセットするための機会をOCICAでは設けていました。

OCICAの場合のリセットの機会は、OCICAの売上の一部を共益費として集めてそのお金を使って全員で豪華なランチを食べに行くことです。つまり、「牡鹿半島の先輩お母さんたちの笑顔の為に使う」仕組みです。

そしてそのランチを食べに行く時に今の心境を全員が話せる機会を設けます。この2つの仕組みを作ることで、全員でがんばる意味を感じるのと同時に、原点の想いである「牡鹿半島の先輩お母さんたちの笑顔を取り戻したい」に立ち返ることができました。

3-3 活動資金の自立

どんな活動であれ、続けていくためには資金源が必要です。友廣さん達つむぎやでは、OCICAの他に地元の水産加工会社から缶詰を仕入れて販売する活動もしていました。

他にも状況に合わせて自治体の助成金を活用するなどして、複数の収入源を確保していました。そのためOCICAがビジネスとして成立する前であっても、仮にビジネスとしてダメになったとしても、継続的に活動資金が得られる仕組みにしながら、関わり続けることができました。

コミュニティづくりの基本を振り返る

レクチャーの開始です
前回の講座では、主にコミュニティづくりに関する理論的なことを学びました。ポイントは2つ

Say ≠ Want
つまり、言葉で言っていることと本当にやりたいことは必ずしも一致していないということ。
そして、

IDCA
「Idea Do Check Assesment」のサイクルで活動すべきということ。

今回はこの実践事例と、レポートではそこから今後応用できそうな知恵をまとめてみました。第3回では実際に島根県雲南市でコミュニティナースとして活動している株式会社コミュニティケアの社長の歌田さんの事例をお聞きします。

ぜひお楽しみに!

2016-07-13 | Posted in プログラムNo Comments » 

関連記事