Aug 22, 2016

コミュニティナースが同志を探すための3つの想いの語り方-第4回プロジェクトリポート

こんにちは、コミュニティ育成プロジェクト事務局の齋藤です。

いよいよ架橋に入ってきたコミュニティナース育成プロジェクト。フィールドワークを目前にした第4回では、ナースたちが
「もし上林地区※で村の保健室をするとしたら、自分は何をするのか?」
※フィールドワーク開催地の京都府綾部市上林地区のこと
という妄想シートの内容を発表し、それを実現するためのアクティブ・リスニングという方法について学びました。

課題解決のデザインとは、同志が力を発揮できるデザインのこと

第4回−5
コミュニティナースの活動は地域の中、つまり人々の関係性の中に入りながらさまざまな課題を解決するデザインを作っていくことにあります。

それは言い換えれば、自分の目指す世界に共感してくれる同志を探しだし、彼らが活躍するデザインを作っていくことにあります。

この時重要なのが、話を聞く(第1回で取り上げました)ことに加え「自らも語る」ことです。

ナースがコミュニティを作る強みは「傾聴力」にあり!?-第1回プロジェクトリポート後編

聞き語りを通じて同志を探す技法「パブリックナラティブ」を学ぶ

第4回−2
この聞く技術のことをアクティブ・リスニングと、語る技術のことをパブリックナラティブと呼びます。

第4回ではこの2つを組み合わせることを通じて、同志を探し、見つけた同志が力を発揮できるデザインをするための情報を得る方法を学びました。

アクティブ・リスニングとは、第1回でも取り上げましたが、積極的に相手の話を聞き出すための技術です。

3つの語り方で構成されるパブリックナラティブ

第4回−3
パブリックナラティブとは、2008年のアメリカ大統領選挙でオバマ大統領が用いた手法としても有名です。

このパブリックナラティブには大きく分けて3つの語り方があります。そしてその3つに共通するのは、聞き手に「共感」を呼び起こすことにあります。

ストーリー オブ セルフ:自分の物語を語る

第1の語り方はストーリー オブ セルフ(Story of self)つまり自分自身の物語を語ることです。

コミュニティナースであれば
「自分はなぜコミュニティナースになろうとしているのか」
「この地域に足を運んできた理由はどんなものなのか」
といった話になります。

これは語り手によって異なりますし、一つとして同じものはないはずです。3つの語り方の中では、自分についての情報を元に語るだけの最も簡単な方法です。

ストーリー オブ アス:自分と相手の共通する事を物語る

2つ目の語り方はストーリー オブ アス(Story of us)です。これは「あなた(たち)と私」の物語を重ねて語る、ということです。

それは
「私達がみんなで集まって一緒にやることが大切」
というメッセージのストーリーでもあります。

ストーリー オブ アスを実践するためには、アクティブ・リスニングなどを通じて相手の物語を引き出しておくことが重要です。さらに引き出した物語を自分の物語と重ねることが必要です。

ストーリー オブ ナウ:行動を引き出す物語

最後の3つ目はストーリー オブ ナウ(Story of now)で、これは「今しかないから、この瞬間に一緒に行動を起こそう」というメッセージのストーリーです。

3つ目を実践するには、ストーリー オブ セルフとアスを階段のステップのように登る必要があります。

相手の物語を聞きながら、自分自身の物語を語り、相手の物語と重ねること。そして行動に繋げるために「今」という瞬間の価値を伝えること。
これが3つ目のストーリー オブ ナウです。

アクティブ・リスニングとパブリックナラティブを通じて「課題を解決するデザイン」を考える

第4回−4
アクティブ・リスニングとパブリックナラティブの2つの方法を使って同志を作る、だけでは課題は解決しません。

最後に課題を解決するためのデザインが必要です。この「課題を解決するデザイン」とは、発見した同志の役割を作ることです。

この同志は地域の人だけとは限りません。同じ看護師であったり、遠く離れた場所の人であったりするかもしれません。

次回の京都府綾部市でのフィールドワークでは、村の保健室という看護師たちが考えた企画を実践することを通じて第4回までの講座で学んできた内容を実践します。

次回のリポートをお楽しみに!
(すでにフィールドワークが終わっているので早く僕が書く必要があるだけですが…)

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