Dec 14, 2016

地域で”無”敵状態を目指せ!コミュニティナース育成プロジェクト講座-番外編

コミュニティナース育成プロジェクト事務局の齋藤です。

現在、育成プロジェクトの2期生が講座を受講中ですが、今日は卒業した1期生向けのエクストラプログラムがありました。

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<コミュニティナースたちは近所の方にクリスマス会のチラシを配った後なのでサンタの格好をしています>

すでに日本各地のフィールドで実践を始めているコミュニティナースたち。
育成講座では「コミュニティナースの考え方」を中心に学びますが、番外編ではより実践的な内容を学びました。

テーマは
「コミュニティナースは地域に入った時、何を見るべきなのか?」
です。

情報の洪水状態の現実世界で、正しく「見るべきもの」を見つける

インターネットは「情報の洪水」とも言われますが、これは裏を返すと「現実はインターネットほど情報がない」ともとれます。

しかし、そんなことはありません。

むしろ現実世界の方が情報は多く、逆に多すぎて「見えなく」なってしまっているという表現の方が正しいと思います。

コミュニティナースが入り込む「地域コミュニティ」もまた、情報が山盛りです。
そして、大量の情報を前にした時、まずすべきは「何を見るか」を決めることです。

「何を見るか」を決めるためには「何のために?(=目的)」を基準にする必要があります。

コミュニティナースの目的は
「全ての地域住民が、健康で安心できるコミュニティを作る」
(※「全ての地域住民」にはコミュニティナース自身も含まれています)
ことです。

このことから、コミュニティナースが見るべき存在は「全ての住民」であることがわかります。
しかしそれ以上は、すこし抽象的すぎてまだわかりにくい状態です。
もう少し分解してみましょう。

「全ての地域住民が、健康で安心できるコミュニティを作る
注目すべきは「コミュニティを作る」という部分です。
コミュニティは「人」と「人間関係」の2つの要素から成り立っています。

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「人」とは、
この人は、どんなことができるのか?という技術
この人は、どんな過去があるのか?という経歴
この人は、何を目指しているのか?という目的
など、個人に関係する情報です。

「人間関係」とは
AさんはBさんに対してどう思っているのか?
AさんとBさんの間にはどんな感情があるのか?
といったような人と人の間に生まれるものに関する情報です。

コミュニティを作るために「人」と「人間関係」が必要である、
ということはつまり、コミュニティナースが見るべきものは
「全ての地域住民」を対象に「人」と「人間関係」という2種類の情報
になります。

“無”敵状態のコミュニティナースだけが、全ての住民を幸せにできる

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コミュニティナースが目的を達成するために、最も難しいのは
「全ての地域住民」
を対象にしていることです。

例えば、自分と趣味が合う人や性格の相性がいい人、病院に来る人やお店に来る人”だけ”を対象に「どんな人なのか?」と「どんな人間関係があるのか?」を探るのは比較的簡単です。なぜなら”会える”からです。

しかし”全ての地域住民”となるととても難しい。
そもそも「普通では会えない」人がだいたいどの地域にも存在します。

そんな人達とコミュニティナースが会うためには…
ポイントは「人”好”密度」と「”無”敵状態」の2つです。

人好密度を高める状況を作る

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人好密度(じんこうみつど)とは、コミュニティナースが作る場の状態を測る指標です。
人間の健康で言う「体温」のようなものです。

人好密度が低いと、そのコミュニティの人間関係はあまりよくありません。
会話がほとんど生まれない、特定の人としか会話しない、もしくはお互いにネガティブな話ばかり出てきている状態です。

逆に、人好密度が適度に高いと、コミュニティを構成する人々の間で活発に会話やコミュニケーションが生まれています。
また、ポジティブな話題が登場して自己肯定感を高めることができます。

一方、人好密度が高すぎると、まるで風邪をひいたような状態になります。
あまりにポジティブすぎて疲れてしまったり、ネガティブな話ができないストレスを感じてしまいます。

コミュニティナースは、人好密度が適温状態な場づくりを通じて地域住民との交流をしていきます。

人好密度の話は、コミュニティナース育成講座の第1回でも取り上げましたので、興味がある方はぜひ見てみて下さい。
「人好密度(じんこうみつど)」

コミュニティの中で”無”敵状態になる

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“無”敵状態(むてきじょうたい)とは、今回の番外編で初めて登場したキーワードです。

これはコミュニティの中に「敵対する人」がいない状態のことを指します。
先程紹介した「人」と「人間関係」に注目する、というのはこの”無”敵状態を作るために必要なことです。

“無”敵状態であるとは、全ての住民とコミュニティナースが「コミュニケーションを取ることが可能な状態」にあるということです。

つまり、
「お前の顔なんか見たくねぇ!」
と言われるような関係性が存在しない状態ということです。

なので、
「お前のことはいけ好かないけれど、まぁ話があるなら聞いてやるか」
という状態はセーフです。

地域の中は見えない利害関係が網の目のように存在しています。何も知らずに入れば、簡単にこの網に引っかかってしまいます。

逆に言うと、地域の方々の多くはこの網の目があるからこそ思うように動けない場面が多々あります。コミュニティナースは、この網の目に自覚的になることで、自由に泳ぐことができる道を見つけて活動します。

この地域の人間関係の中で、自由に誰にでもアクセスできる状態を「”無”敵状態」と言います。

新しい学びをどんどん発信していきます!

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今回の講座で学んだ
「コミュニティナースは地域に入った時、何を見るべきなのか?」
とは、

「人」

「人間関係」
に注目するということでした。

この2つに注目しながら、自分は「”無”敵状態」になり、適度な温度の「人好密度」の場をつくります。
現在進行形でさまざまな活動を行っているコミュニティナースたち。

第1期の講座が終わり、2期の講座がスタートしました。
講座の内容はほぼ1期と同じなので、事務局の私は何を書けば…と悩んでいましたが今後はこんな風に新しい学びが出てきた時にレポートしたいと思います。

今日もコミュニティナースたちは各地で活動しています。
もし彼女ら、彼らの活動に興味を持った方はコミュニティナース育成プロジェクト事務局までお気軽にお問い合わせ下さい!

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